たからだ。
彼女は物静かで、その横顔はとても綺麗で色っぽかった。
授業中、気付けば いつも彼女の横顔を僕は盗み見ていた。
――でも、話かける勇気は持てなかった。
彼女はいつも一人で、放課後になってもそれは変わらない。
ガヤガヤと賑わう喧騒の中で、彼女の周りだけ時間が止まっているようだった。
家はどの辺りなのだろう? 彼氏はいるのだろうか?
気になることは沢山あった。
――でも、僕は彼女のことを何も知らない。
夕日を浴びる彼女のどこか物憂げな表情は、いつにも増してミステリアスだった。
無音をまといながら、教室のドアが開いていく。
彼女は、どこに向かうのだろう?
――いつしか、僕の頭の中は彼女でいっぱいになっていった。
「ねぇ、ここ…、教えてくれない?」
そんなある日、奇跡は起こった。
突如訪れた阿久津さんとの放課後の居残り勉強に、僕は舞い上がっていた。
授業中以外で、初めてまともに聞く彼女の声…。
先生に当てられ、無機質に回答をする時とは違って、その声は凄く色っぽかった。
彼女の顔が普段よりずっと近く、目の前にある。
切れ長の目、長いまつ毛、艶やかな唇…その顔立ちは凄く上品なのに、どこか妖しげで…。
いつの間にか股間が盛り上がっていることに気付いた僕は、慌てて顔を下へと背けた。
「――クスッ…ね、佐藤くんにお礼がしたいんだけど…」
「え…?」
「勉強教えてくれた、今日の…お礼♪」
彼女は、目を細めながら官能的すぎる声色で甘くそう囁いた。
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〇基本絵:25枚
〇セリフ差分:402枚
〇イラスト担当:君乃遊女(あくつ叶)